中国語の語順を徹底的に解説します
edit公開日:2022年11月15日
person 執筆者:張 婷婷
中国語を学習する上で、中国語の語順はとても重要です。
日本語の基本語順は「主語+目的語+動詞」なのに対し、中国語の基本語順は「主語+動詞+目的語」です。
このことから分かる通り、中国語の語順は日本語の語順とは全く違います。
また中国語の検定試験でも語順は頻出問題となっています。
例えば、HSK試験には以下のような並び替え問題がよく出題されます。
Q. 日本語に合うように単語を並び替えて下さい。
先生はあなたのことを心配しています。
「老师 为 担心 呢 正在 你的事」
老师正在为你的事担心呢
↑PC (マウスオーバー), スマホ (タッチ操作)で解答を確認できます。
本記事では中国語語順を徹底的に解説したいと思います。
1. 中国語における文の成分
中国語の語順を説明する前に、中国語の文の成分について解説したいと思います。
中国語の文の成分には、
- 主語
- 述語
- 目的語
- 定語(連体修飾語)
- 状語(連用修飾語)
- 補語
の6種類があります。
1-1. 主語
主語は文法上、述語に対し、それが表す動作・作用を持つものを表した語です。
次の例を見て下さい。(主語部分を強調しています。)
①
彼はパンを食べました。
②
山が高いです。
しかし、
中国語の主語は必ず動作者ではありません
。
日常会話で時に動作、行為を受けるもの、受け手が主語ということもあります。
次の例を見て下さい。(主語部分を強調しています。)
③
ご飯を食べました。
④
本を買いました。
例③、④では、それぞれ
このように
本来の目的語が主語になることを受事主語
と言います。
1-2. 述語
述語は主語について、その動作・作用・性質・状態などを叙述するものです。
次の例を見て下さい。(述語部分を強調しています。)
①
彼はパンを食べました。
②
山が高いです。
③
私は明日東京に行きます。
ここで注意する必要なことは
述語≠述語動詞
ということです。(述語動詞: 述語部分に含まれる動詞のこと)
例えば例①の述語は「 」です。述語動詞はこの部分の動詞「 」です。
1-3. 目的語
目的語は他動性の動詞の表す動作をこうむる人や事物を表す語です。
中国語では目的語を動詞の後ろ
に置きます。
次の例を見て下さい。(目的語部分を強調しています。)
①
私は明日東京に行きます。
②
アイスクリームを食べたい。
1-4. 連体修飾語
中国語の連体修飾語は
は名詞の前に置かれ、その名詞がどのようなものか修飾する働きをします。
はよく「 」を伴って言性の中心語を修飾します。
次の例を見て下さい。(連体修飾語
部分を強調しています。)
①
私はたくさんの中国人の友達がいます。
②
チョウさんは日本の服装ブランドが好きです。
1-5. 連用修飾語
中国語の連用修飾語は
は時に「 」を伴って言性の中心語を修飾します。
連用修飾語の中心語はいつも動作を表す語です。
次の例を見て下さい。(連用修飾語
部分を強調しています。)
①
私は毎日努力して中国語を勉強している。
②
弟は楽しそうに玩具で遊んでいる。
になる語は、単音節形容詞、時間詞、副詞、前置詞です。
次の例を見て下さい。(連用修飾語
部分を強調しています。)
③
早く食べて、遅刻しますよ。
④
私は明日北京に出張します。
⑤
私は常に東京に行きます。
⑥
私は自宅で働いています。
1-6. 補語
補語は動詞あるいは形容詞単体では伝えきれない、主体の様子や状態の程度を補うために使うものです。
中国語では補語を動詞あるい形容詞の後ろ
に置かれます。
動詞や形容詞の意味を補う「補語」は、
- 結果補語
- 程度補語
- 可能補語
- 数量補語
- 状態補語
- 方向補語
の6種類があります。
結果補語
①
服はきれいに洗濯しました。
程度補語
②
今日はめちゃくちゃ疲れった。
可能補語
③
私は中国語が分かる。
数量補語
④
私は上海に一回行ったことがあります。
状態補語
⑤
はっきり聞こえます。
方向補語
⑥
彼が中に入ったことを見ました。
2. 中国語における文の成分の順序
ここまでは中国語の文の成分について解説しました。
ここでは語順に着目して整理してみましょう。
2-1. 中国語の基本語順
中国語の基本語順
日本語の「主語+目的語+述語動詞」と違って、中国語文の基本順序は「主語+述語動詞+目的語」です。
誰が(主語)+何(目的語)をどうする(述語)を表現します。
①
私は洗濯します。
②
彼は北京に行きました。
③
私はパンを食べました。
2-2. +連体修飾語
+
主語+述語動詞+連体修飾語 +目的語。
は名詞の前に置かれます。
①
私は汚い服を洗濯しました。
②
彼は中国の北京に行きました。
③
私は値段がとても高いパンを食べました。
2-3. +連用修飾語
+
主語+連用修飾語 +述語動詞+連体修飾語 +目的語
は動作の発生した場所/時間/頻度などを表します。
①
私は家で汚い服を洗濯しました。
②
彼は昨日中国の北京に行きました。
③
私は毎日値段がとても高いパンを食べました。
文に時間と場所の両方が含まれる場合、時間は場所の前に来ます。
④
私は昨日家で汚い服を洗濯しました。
⑤
私は毎日喫茶店で値段がとても高いパンを食べました。
2-4. +補語
+
主語+連用修飾語 +述語動詞+補語 +連体修飾語 +目的語
中国語では補語を動詞あるい形容詞の後ろ に置かれて、主体の様子や状態の程度を補います。
①
私は毎日 1 時間、Netflix で中国のドラマを見ています。
②
私は昨日家で汚い服を洗濯しました。
③
娘は今朝、区役所のプールで 1 時間泳ぎました。
2-5. 基本語順のまとめ
ここまでのまとめて、中国語の語順を次のようになります。
「主語+連用修飾語 +述語動詞+補語+連体修飾語 +目的語」
3. その他の品詞の語順
ここまでは文の成分に着目して、基本的な中国語の語順について整理してきました。
ここからはその他の品詞(助動詞、副詞、前置詞、数量詞)なども加えて語順について整理していきたいと思います。
特に注意して欲しいことは、語順によってニュアンスが変わってしまう場合があることです。
3-1. 助動詞の位置
中国語では可能や願望、義務、必要などを表す助動詞があります。
例えば「 」。これらの助動詞は能願動詞とも言います。
注意
助動詞は動詞の前に置きます
。
助動詞を時間あるいは場所を表す連用修飾語の前に置く場合もあります。
どちらの場合も助動詞の直後の内容が強調されます。
例1:
の位置
①
②
明日学校に来られます。
①は「学校に来ることができる」ということを強調します。
②は「明日来ることができる」ということ強調します。
例2:
の位置(その1)
①
②
明日、先生に電話するべきです。
①は「先生に電話するべき」ということを強調します。
②は「明日こそ電話するべき」ということを強調します。
例3:
の位置(その2)
①
②
家でちゃんと休むべきです。
①は「ちゃんと休むべき」ということを強調します。
②は「家でちゃんと休むべき」ということを強調します。
3-2. 副詞の位置
副詞の位置
副詞を動詞の前に置きます
。
否定副詞「
」と助動詞の両方がある場合、 否定副詞「 」の位置のよって意味が異なる場合があります。
①
中国語が話せないですか?
②
中国語を話せなくてもいいですか?
①
彼は来ないかもしれない。
②
彼は来るべきではない。
3-3. 前置詞の位置
前置詞の位置
前置詞は名詞などと一緒に使うことで場所・方向・時間・対象などの意味を表す前置詞フレーズになります。
前置詞フレーズ全体は動詞の連用修飾語になりますから,語順は動詞の前に置かれます。
①
私は明日午前中学校で中国語レッスンを受けます。
②
飛行機は北京時間の午後5時に着陸します。
③
ママは毎朝子犬と散歩に行く。
④
まっすぐ南へ行きなさい。
⑤
お姉ちゃんは私に彼女を紹介しました。
3-4. 数量詞の位置
数量詞の位置
中国語の量詞には、名量詞と動量詞の二種類の量詞があります。
名量詞は名詞の数を数えます。名詞の前に置きます。
動量詞は動作の回数を数えます。動詞の後ろに置きます。
名量詞の例
①
彼は娘が二人います。
動量詞の例
②
去年上海で小籠包を一回食べたことがあります。
4. まとめ
本記事では、中国語の文の成分と主要な品詞について基本語順を解説しました。
上記全てをまとめると以下のような図になります。
語順のまとめ
赤字は第1~2章で紹介した部分、その他は第3章で解説した部分になります。
この図を頭に入れておけば、日常会話力やHSK試験にも役に立つと思います。
基本語順を参考して、長い文を作ってみてください。